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実務未経験のWebデザイナーはなぜ採用されないのか?

実務未経験のWebデザイナーはなぜ採用されないのか?

「デザインの勉強をして、ソフトはひと通り使える」
「ポートフォリオもよくできた」
「なのに、なかなか採用に至らない」
そんなデザイナー希望の多くの人は、不採用の理由を「実務未経験」と言われているようです。誰だって最初は未経験なのに、それが理由で採用されないのは理不尽と思う人もいるはずです。
そこで、この記事では実務未経験は、なぜ採用されないのか?ということについて考えてみたいと思います。

ポートフォリオのデザインは評価されない?

美大など、デザイン学生の多くは、就職のためにポートフォリオという作品集を作ります。ポートフォリオにあるデザインは、学校の課題だったり架空の会社やサービスを想定してつくられたものがほとんどです。
そして、この架空のデザインが採用の場面ではあまり評価されません。

その理由は、学生がつくる架空のデザインは、プロの現場でつくられるデザインとは異なるプロセスでつくられたデザインだからです。
そのため、どんなにポートフォリオの作品がきれいでかっこよくできていても、実際のプロセスと違うため、プロの現場では難しいだろうと思われるのです。

学校でのデザインと現場でのデザインはプロセスが逆

実務でつくられたデザインと架空のデザインは、一見、デザインだけ見ると違いが無いように見えます。
しかし、学校でのデザインの場合、形式こそ「ターゲット設定」がなされていますが、基本的に“自分がつくりたいデザイン”からスタートしています。そこに文字や写真、イラストといった素材をデザインに都合よく配置している場合がほとんどです。

しかし、プロの現場では、ビジネス上の目的があり、想定ターゲットがいます。ターゲットに伝えるべき必要な情報や写真は、優先順位どおりに伝わるように配置しなければなりません。
デザイン的にかっこよくするためにキャッチコピーを英文にすることも、本来入れる必要がある商品画像をイメージ写真に置き換えたりすることもできません。必要な要素はデザインの都合で削ったり配置できないのです。

つくりたいデザインより先に目的やプロセスがある

デザイナーだけでなく、ライターやイラストレーター、カメラマンといったプロのクリエイターは、目的や想定ターゲット、制作物に組み込まなければいけない必要条件が先にあります。
架空のデザインが、どんなにかっこよくできていても、デザインに配置された要素を見れば、そのデザインがどのようなプロセスでつくられたものかはわかります。
結果、架空の企業や架空のサービスを想定したデザインを見た時に「プロの現場ではこうはならないような」と思われることが多いのです。

【学生や実務未経験の方のポートフォリオ制作プロセス】

1.自分の作ってみたいデザインを決める
  ↓
2.やりたいデザインに合わせて、都合よく文字や写真、イラストなどを入れてつくる
  ↓
3.できたデザインに合うような、目的や想定ターゲットを設定する
  ↓
4.出来上がったデザインに、実際に目的や想定ターゲットなどの説明を添えてポートフォリオが完成

このようなプロセスでしかデザインをした経験がないまま、プロの現場でデザインを担当すると以下のようなことが起こります。

【仕事でデザインする際のプロセスで起きる問題】

1.自分が経験したことがないサービスやはじめて知る企業のデザインで、想定ターゲットや目的を与えられる
  ↓
2.必要な素材、文字、写真、イラストなどの要素が決まってくる
  ↓
3.はじめて知る想定ターゲットや目的、必要要素でのデザインが自分の中の引き出しになくどんなデザインにしたらいいのかわからなくなる
  ↓
4.どんなデザインにしていいかわからないまま、とりあえず手を動かし、結果、やり直しの数が膨大になる

どんなデザインになるか見えていないまま手を動かす

目的がポートフォリオをつくることであれば、自分のつくりたいデザインイメージから制作に取り掛かかると思いますが、仕事でデザインをする場合は、目的やターゲット、入れ込む必要要素や情報量といった前提条件を踏まえて、ふさわしいデザインを短時間にイメージしなければなりません。

しかし、与えられた前提条件や、必要要素、入れ込む情報量が、自分に経験がないものだと、どんなデザインになるか見えていないのに、期日を決められていることで、とりあえず手を動かしはじめることになります。

手を動かしながらデザインの方向性を考えるとやり直しが増える

どんなデザインになるか見えていないまま、手を動かしはじめることは、方向音痴の人が方角がわからないまま歩き出す原理と同じです。
ポートフォリオのように自分のつくりたいデザインイメージありきでつくれるデザインとはあきらかに違うプロの現場のプロセスでは、

・デザインしたことのない業界
・デザインしたことのない情報量
・デザインしたことのない訴求プロセス

を与えられたり、

・英文だったらかっこいいデザインになるのに、実際には日本語の長いコピーを入れなければいけなくてかっこつかない

みたいな状態のなか、デザインをつくりはじめることになります。

結果として、実務未経験の人は、自分に馴染みのない業界や、不慣れな必要要素が前提条件で与えられたときに、方向音痴のようにデザインがあっちいったり、こっちいったりして、結果、時間だけが過ぎて何も進まないということが起きると思われて、採用されないという結果になってしまうのです。

どうすれば実務未経験から脱却できるか?

プロの現場では、はじめて聞くような業界やサービス、馴染みのないターゲット層や、盛り込む情報が盛りだくさんに先に与えられたとしても、どんなデザインになるかわからないまま手を動かすことはありません。
そのため、どんな前提条件がきても、自分のデザインの引き出しから「これなら、こんなデザインにしたらいいな」とすぐに思いつく必要があります。

デザイナー希望の学生は、ポートフォリオの完成を目的にしてしまうと、どうしても体裁を整えることを優先してしまいます。そのため、一見、きれいなデザインやかっこいいデザインを並べて、実際のビジネスを目的にしたら絶対に入れるべき必要な要素を省いてしまいがちです。

現場のプロセスを知り、どんな必要条件だとしても早い段階で「こんなデザインにしよう」と思いつくためにデザイン集だけでなく日々、実際にあらゆるターゲットを想定して、自ら検索して使えそうなデザインのネタをストックしておいたり、知人や友人などを通じて、ちょっとしたものでいいので、実体のあるデザインを経験しましょう。

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