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市場や雇用を国内から海外に目を向けてみる
2022年11月28日~12月16日の3週間、海外人材のインターンを受け入れました。
今回の受け入れは、経済産業省による「国際化促進インターンシップ事業」という取り組みを利用したものです。この事業は、日本企業が高度外国人材を受け入れ、海外展開に向けた体制を強化する目的で実施されました。
目的は国境を越えたチームづくりと将来の海外展開
海外人材のインターンを受け入れた目的は以下です。
- 海外の人と働くことで社員に良い刺激を与えたい
- 高度人材と言われる海外人材のレベルを知りたい
- 海外進出の可能性を考えたい
- 国の事業なので費用を負担してもらえる
ニンニンドットコムでは、すでに海外在住のアルメニア人エンジニアが在籍しているので、海外の人と働くメリットは感じていました。
国境を超えたチームづくりの可能性や、会社や社員、お客様にどのような影響を与えるのかも気になっていました。
受け入れたのはエチオピアとミャンマーからのエンジニア志望の若者
エチオピアからは25歳の男性Abel(アベル)、ミャンマーからは22歳の女性Linn(リン)が来日しました。AbelはレコメンドエンジンやAI、デザインを、LinnはWebサイト制作を学んでいました。
彼らが担当したのは、ニンニンドットコムに依頼されているオウンドメディアの企画や、運営しているWebサイトの更新、画像の作成などです。また会社のキャラクターである忍者をデザインしたTシャツやパーカーを販売するためのECサイトの制作です。
業務上のコミュニケーションを、
ほぼ英語で行う
Linnはミャンマーで日本語を教えており日本語は堪能でしたが、Abelは日本語を話すことができません。
そこで、業務のやりとりは主に英語で行うことにしました。
海外の人と仕事を進めるには、言葉の壁がとても気になるところです。
将来的に、海外とのビジネスを考えている人には、今のうちから英語の勉強に取り組んでいる人も多いと思いますが、ニンニンドットコムのスタッフは、英語が得意ではありません。
実際、2人が来日した日の挨拶では、何を話しているのかわからず、言葉を返すことができませんでした。
流暢な英語力はどれほど業務に必要か?
しかし、今回、彼らとの3週間、業務連絡を英語で行うことで、ストレスを感じることはほぼありませんでした。
伝えたいことはGoogle翻訳を使ったり、その都度、単語を調べるとでほぼ問題なくコミュニケーションがとれたのです。
そして、普段日本語のみで仕事し、英語が得意ではない私たちにとって、英語で業務を進めるという経験は、とても大きな学びになりました。
大事なのは語学力ではなく、伝えようとする意志
英語がわからなくても伝えることが必要な場面になれば、私たちは自分の考えをなんとか伝えようとしますし、相手の言葉を受け止めようとする姿勢が生まれます。
そこに、便利な翻訳ツールやパソコン画面で図を使って指示をすれば仕事の伝達というのはストレスなく行えるものでした。
逆に、たとえ日本語ができる者同士でも、自分の意見がはっきりしていなかったり、遠慮などを理由に曖昧な表現で会話をすると、無駄に会話の往復回数が増えたり、伝達ミスで手間が増えたり、トラブルになってしまうことさえあると思います。
つまり、コミュニケーションには言語力よりも、思いを伝えコミュニケーションを取ろうとする姿勢のほうが大切です。
具体的には、
- 明るく笑顔で接する
- 質問をしてくれる/答えてくれる
- 真面目に取り組んでくれる
- 仕事を遂行しようとする
これらの姿勢があれば自然に関係は深まり、質問しやすい関係にもなります。
海外の人と仕事を進めるには、必ずしも言語が流暢であることは必要ないと感じました。
仕事とはバトンを渡しながらゴールへと向かうこと
仕事とは、役割から役割へバトンを渡しながらゴールを目指すものです。
そしてこの「バトンを渡す」ことが、コミュニケーションです。
今回の体験を通じて、必ずしも「語学力=仕事のバトンがつながる」というわけではないのだと知りました。
大切なのは、英語ができるということではなく、言いたいことがはっきりしていて、伝えるべきことを言語化できる状態になっているということです。
どんなに英語ができても、言いたいことが明確でなければ結局、言語化はできません。
英語がわかるということと、英語を使って言いたいことを伝えることができるというのは似て非なるものなのです。
相手が察してくれることを期待するからストレスになる
例えば、
ECサイトを制作する際、
「〇日までに、このページのデザインを完成させてください」
「このページと同じような目的でつくられたレイアウトを探して参考にしてください」
と指示したとします。
そして、実際に制作してもらったあと、こちらのフィードバックが以下のような伝え方だったらどのように感じるでしょうか。
「他にも見やすいサイトがあったかも」
「例えばこれとかいいかもしれないです」
「あと、色はもうちょっと明るいほうが好きかな」
日本語がわかればなんとなく理解できるかもしれませんが、この意見をそのまま受け取ったら「それで、結局どうしたらいいんだろう?」と思うのではないでしょうか。
このようなフィードバックは指示というより感想に過ぎず、解釈もバラバラになります。
これでは、考えをスムースに受け取ることができず、やり取りをする回数も増えてしまいます。
つまり、結論がなく相手が察してくれることを期待するコミュニケーションでは、たとえ英語を話すことができても、結局業務が滞ってしまいストレスがかかるのです。
海外のメンバーとストレスなく仕事をするには?
では、このようなフィードバックはどうでしょう。
「この部分の色は赤にしてほしい」
「3列のレイアウトより2列のほうが見やすいので変えてほしい」
伝えたいことが明確で、非常にわかりやすいですよね。
英語ができなくても、言いたいことがはっきりしていれば、図や絵で表せますし、翻訳ソフトを使ったり、その都度、単語を調べれば伝えることができるのです。
大事なことは決断力。語学力は後からついてくる
ニンニンドットコムでは、現在も常に国を越えたプロジェクトチームを模索しています。現在スタッフとして働いてくれているアルメニアのエンジニアは、日本語の細かいニュアンスの違いを気にしないため、言いたいことをストレートに伝えることができています。
流暢な日本語が必要ということもなく、業務が滞ることもありません。
英語が苦手なスタッフも、インターンと過ごす3週間のうちに聞き取りができるようになり、ある程度話すこともできるようになりました。
事前の言語能力や言語学習は、それほど重要ではないのかもしれません。
実際にコミュニケーションをとる場面に直面したとき、思いを伝え合おうとする姿勢があれば案外短期間で話せるようになるものです。
決断力があり、言いたいことをはっきり伝える組織に
共通の言葉を話す者同士でも、まわりくどい言い回しや、あらゆる受け取り方ができる表現を使ったり、衝突を避けるために結論を言わなかったりすると、業務効率は著しく下がってしまいます。
今回のインターン受け入れを通じて、改めてストレートに意見を伝え合える組織の重要性に気づきました。
意思を明確に出来ないのは、後で意見を撤回したり、間違ったり、反対意見によってくつがえされたりするのが怖いからかもしれません。
実際には、間違いだったと思えば撤回すればよく、相手の方がよい意見だと感じたらそちらに同意すればよいのです。
言いたいことを言い合い、訂正も変更もできるような自己開示ができるチームを作っていくことで国際化を進めていきながら個人の決断力、世界で通じる語学力を養えたらと思います。