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デザインの仕事が途切れない人は、指示を待たない
仕事が欲しいデザイナーは、提案できないと、指示されるまで、何も出来ず待つことになってしまいます。
プロジェクトが進まなければ公開もされず、結果報酬が入ってくるタイミングも先延ばしになります。
できれば、仕事を待っている時間を減らし、自らの都合で仕事を進めたいですが、そのためには、指示される前に、自分の仕事に関わる「どうつくるか」という部分を自分で決められなければなりません。
仕事がもらえないのではなく、指示する暇がない!?
これだけ世の中にデザインが多く必要とされているのに「仕事がもらえない」と売り込みを続けているデザイナーなどは、本当は「仕事がもらえない」のではなく、実は「あなたに指示をする時間がない」ということかもしれません。
いずれにせよ、仕事を切れ目なく獲得していくためには、指示する側の工程である、自分の工程の上の部分を提案し、それを指示する側に良いと思われることで、仕事を先に進める必要があります。
つまり、自分がコントロールできる部分を増やす必要があるのです。
デザイナーといっても、実は全体の一部しか担当していない
おおまかに、デザインを取り巻く仕事の全体像は、以下のような流れで進みます。
企画(誰に何をどのように見せるか)
目的設定
ターゲット設定
世界観(雰囲気)設定
打ち出し設定(キャッチコピーやメインビジュアル)
↓
サイト設計
必要コンテンツの洗い出し
導線設計
ページ数の決定
↓
ページ設計
必要要素の洗い出し
優先順位
素材等の収集(原稿、写真、イラスト等とりまとめ)
レイアウト
↓
ページデザイン
ビジュアル作成
ビジュアル面の細部の調整
↓
デザインチェック(合格基準や条件設定)
↓
コーディング ・・・
自分の担当箇所がビジュアル面の細部の調整のみであれば、そこに仕事がたどり着くまで、上流を担当するメンバーの動きを待たなければいけません。
しかも、上流を担当する人、複数の案件を抱えて忙しいとなると、さらに待つ時間は増えてしまいます。
仕事がもらえないと売り込みを続けている人が、実は、自分の工程の前の部分を進める人がいなくて滞っているだけなのかもしれない、というのはこういう全体像を考えればわかります。
自ら上流工程を提案できれば仕事は止まらない
そこで、仕事を途切れなく行いたいデザイナーは、プロジェクト全体で自分の担当箇所よりも上流にあたる部分を自ら提案して進められたらいいのです。
提案するために必要なのは、依頼されたことの背景や、今、取り組もうとしていることのそもそもの目的を知ることからはじめます。
目的がわかれば手段(具体的にどのようにデザインするのか)が見えます。
そうやって本来、待っていなければならない指示の内容をこちらで決めることができることで、指示を待たずに仕事を進めることができるのです。
最初にやるべきは顧客は誰か?感情をどう動かすか?
企業からマーケティング目的でデザインを発注されたのであれば、それは顧客に対してか、求職者に対して行われます。これがターゲットと呼ばれるものです。
目的とターゲットが分かれば指示をされなくても、提案することで仕事を先に進められますが、ここでの目的は、ターゲットがいる以上、ターゲットの感情を動かすことにあります。
つまり、狙った相手の気持ちをどんな状態からどういう状態にするかです。
例えば、目的が物を売るなら「これ欲しい!」と思わせる。
他社と比較して応募先として自社を選んで欲しいなら、「〇〇社と検討してたけどこっちの会社が魅力的だ!」と思わせるようなものです。
ターゲットをどんな感情にすればいいのか。
これが、クリエイティブの目的になります。
⚫そもそもの目的
例)自社の商品を売りたい
⚫ターゲット設定
例)自社の商品を他社の類似商品と迷っている人
⚫クリエイティブの目的
例)こっちの商品のほうがかっこいい!
ターゲットを特定しなければ、クリエイティブの目的である感情設定はうまくいきません。
なぜなら、ターゲットによって相手の前提が違うからです。
前提が違えば、狙った感情を実現するための手段が変わります。
だからターゲットが誰か?は、最初にスタートするべき問いになります。
この問いをドラッカーは「顧客は誰か?」という問いで表現していて、さらにこの顧客の設定を3つの問いに分解しています。
顧客の現実は?
顧客の欲求は?
顧客の価値は?
デザインなどの業務で自ら提案してどのようにつくるか決めていくには、顧客は誰か?という問いは、何より最初にやる必要があるのです。
仕事が途切れないデザイナーは実は上流工程から担当している
クライアントから仕事が欲しいのに依頼が来ないクリエイターは、他に劣って仕事が依頼されないのではなく、自分に依頼内容を指示することができないと考えるべきなのです。
なぜなら、世の中のクライアントと呼ばれる企業のほとんどは、クリエイターに依頼内容を指示できません。
これまで20年、企業にクリエイティブを提案し仕事をしてきましたが、明確にデザインを依頼ができるクライアントには一度も出会ったことがありません。
もし、クリエイター自身が、ターゲット設定とクリエイティブの目的設定ができ、クライアントが創るべきものの提案を自らできれば、ほとんどの出会った企業からの仕事が途絶えることは無いのです。