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日本の若者がシリコンバレーで見たものは?(その3)
- 01 「正攻法では勝負しない」成功例の少ない場所へ
- 02 大きな目標のために、目の前の小さなことを捨てる
- 03 シリコンバレーの起業家は「中二病」
- 04 自分だけが信じる「真実」を発見せよ
- 05 顔が見えるのではなく、耳元で声がするアプリ
03 シリコンバレーの起業家は「中二病」
一 中二病?(笑) って、一体どんな人たちなんですか?
なんというか、異質なんです。
皆が、毎日同じ格好をしていて、シャワーにも入らずに、哲学書とか思想本をたくさん読んでいて、本気で「俺は人類を前に進めるために、この事業をやらないきゃいけないんだ」って言うんです。
自分が救世主だ。みたいなノリです。ビジョンや話のスケールもデカイし、熱狂しながら仕事をして、目の輝きが違う。
こんな人たちだから、ここから世界規模の事業を起こす人が何人も生まれているんだと思いました。僕自身も、シリコンバレーに来て2ヶ月ですけど、かつてなく熱狂しました。
環境が人をつくるというか、ここにいて誰よりも努力したら、「俺は間違いなく世界中で使われる事業をつくることができる」と思いました。
一 シリコンバレーに移住して、知り合いも頼れる人もいないなかでどう行動したんですか?
一番の理想は、様々な企業のオフィスに実際に伺ってリアルな声を聞くことですが、それは難しい。そこで、まずはご飯に気軽に誘ってもらえるような存在になることが大切だと思って、いろんなイベントに顔を出しました。
最初は日本人のネットワーキングイベントに目をつけました。毎週末、シリコンバレーにいる日本人で暇な人は集まろうというイベントです。
僕は暇でしかなかったんで、毎週毎週、最初から最後までずっといたんです。
すると、開催者が僕に気づいて「君ずっといるけど、何してるの?」って声をかけてくれて。その時はまだ具体的な事業は決まっていないけど、世界中で使われる事業を起こしたいという話をしました。
それで、「面白いね」と言っていただけて、だんだん人脈が広がっていきました。
一 最初は、本当に何も決まっていなかったんですね。
ただ、「世界で使われるインパクトのあるサービスをつくりたいです!」というだけ?
本当にそれだけでした(笑)。
「んで、何やるの?」と聞かれても、「いや、分かんないっす」という感じ。
とりあえず何やれば良いか分からないから、それを探すために来てます、という状態が続きました。
本当、どうしようもなかったです(笑)。
一 そんな状況のなかで、どうやって事業のヒントを見つけたんですか?
先輩方にずっと言われていたのは、絶対、うまくいかないから、自分が人生をかけて、やり続けられるテーマを見つけろということでした。
一 つまり、失敗前提ってことですね?
失敗が前提だからこそ、人生をかけられるものにしろってことなんだと思います。
人生をかけてないもので失敗して転落って後悔しますし。失敗するかどうかスレスレの場面で頑張れるのって人生をかけられるものだからだと思うんです。
そのために内省をして、色んなことに挑戦して、そのなかで「自分が命をかけられるテーマを見つけろ」って。
絶対、諦めるなとも言われました。
一 それで、人生をかけられるものは見つかったの?
僕は、ずっと抱えてきた睡眠の悩みが事業のヒントになると思いました。
それは「いびき」なんですが、いびきって、つまりは睡眠時の呼吸障害なんです。しかも、いびきに関しては中等度であれ、悩みを抱えている人は5人に1人いるといわれています。
健康を考えた時、運動や食事に気をつけている人は多いですが、そもそも睡眠時にしっかりと呼吸できていない人って少なくないのに、そのまま放置なんですよ。
実際、いびきをかく人って、1日8時間くらい、しっかりと呼吸できていないことになります。
運動や食事と同じくらい健康に影響するのに、それを無視するのはおかしいですよね。
一 自覚が無いから気をつけようがないんだろうけど、1日8時間、ちゃんと呼吸ができてないって言われたら、なんとかしようと思いますね。
そうなんです。いびきの問題が解決に至っていないのは、治療が難しいこともありますが、何より本人がいびきをかいていることに気づいていないんです。
「これだ!」と思っていびきについて調べてみたら、スタンフォード大学に、すごい有名な睡眠医学の日本人の教授がいらっしゃったんです。
それで、メールをずっと送ってたら興味を持ってくださったんです。
一 いきなりメールを送ったってこと?
はい(笑)
スタンフォードって睡眠医学で世界一の大学なんです。
「Stanford Sleep Medicine Center」っていう睡眠専門のクリニックがあって、そこに日本人の睡眠医学の教授が2人いて。
西野さんと河合さんという方です。
それで、河合さんにメールを送ることにしたんですけど、スタンフォードの教授のメールアドレスなんて公開されてないんですよ。
だから、とりあえず河合教授のアドレスっぽいものを考えてメールを送ってみました。
それが、たまたま河合教授のアドレスで、届いたんです。
一 適当にkawai-○×△×@~みたいに打ったら届いたってこと?
ある日、SMSが飛んできて、「メールありがとうございます。会いますか?」と。
それから、河合教授のお力を借りながら、睡眠医学について学んでいきました。
一 スタンフォード大学の教授から学んだってことですね
ところが、学んでいけばいくほど、「僕は、これじゃない」と思いはじめて。
一 まさか、やめちゃったの?
続く